2007年12月03日

沈黙のフライバイ

沈黙のフライバイ (ハヤカワ文庫 JA ノ 3-9)
野尻 抱介
4150308799

野尻さんはデビューから追いかけてきた、数少ない小説家の一人なのだが、本作が現時点で最高傑作かもしれない。
私はSFファンとは言いがたいのだが、SF古典といわれる作品は生まれたときにはすでにこの世にあり、この通りの「2001年」が来る事がないことはわかっていて、ある種の概念として作品を咀嚼して読むものだと漠然と思っていた。
しかし、本作品を読んで初めて、「こういう未来が来るかもしれない」と心から思えた。
なるほど、SFとはこういうものか。
「架空ドキュメンタリー」というような種類の面白さ。
SFファンの気持ちが初めて理解で期待できた気がした。

SF作家の、ささやかでリアルな「夢」。
「野尻はいつも遊んでいます。仕事は必要なときしかしません。」といいながら、まざまざと作品に昇華させられていて、圧巻。
ロケット同様に、大質量の「事実」を燃焼させ、重力を振り切り打ちあがるほんの小さな「虚構」。
もう「遊んでないで新作書いて」などと思ったりしないです、すいません。
「SETI@homeに本当に引っかかったら」等ということは、当然誰しもが思い描くことだが、段違いの知識に裏付けられた「密度」。
「未来も良いな」と思わされた。

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